2本の電話

 長い間ご無沙汰をしていた古い友人と先輩に仕事がらみの電話をした。わからないことを教えてもらうためでもあり、見学を含めたお願いのための突然の電話だったにもかかわらず、二人の声はなつかしく、やさしく暖かかった。
 先輩にまわりくどくお願いをしていると「どうしたの?俺に遠慮しているの?」と言われた。思わず「自分でもやりたくないことをしているから、歯切れ悪くなってしまうのです」と言ってしまった。すると「堂々としたらいいじゃない。誰だって好きなことだけを仕事にしているわけではないのだから」と返ってきた。
 4月から私の仕事の配分は変化をする。医療機関で、現場で精神障がい者とかかわることはあまりできなくなる。そして主として教育という仕事をすることになる。覚悟をしたつもりであったが覚悟できていない自分に気がついた先輩との電話だった。