読書記録−その11

 現在、この本の著者は鳥取県で有床診療所を開業している。何冊か読んだけれど、いつも笑ったり、涙したりして読んでいる。私の祖父母は隣の島根県の東部でかろうじて生存している。そのせいもあってか鳥取はなんとなく遠く感じない。とは言っても、簡単に会いにいけるわけでもない。二人とも90歳を超えているので、かろうじて生存と書いたが、おそらく今度行くのは誰かの葬式になるのだろうなと覚悟をしている。そうだ、その時に時間をつくって鳥取に行こう。死とむかいあう努力をしているお医者さんを訪れるには最高のタイミングになると思う。今から手紙でも書いておこうかなと考えてしまう。見学ではなく、なんとなくそこに座って時間をすごしてみたいと勝手に思っている。とは言っても、その日は、もう少し先の話になってほしいと思う。

心のくすり箱 (岩波現代文庫)

心のくすり箱 (岩波現代文庫)

 社会で、地域で生きている人の日常を大切に考えながら医療を行なう。多くの人が最先端の医学ばかりに目を奪われてしまうなかで、治療者が医療というもののあり方、人が生きるということを問い、考える。それが現在の、最先端医療技術であり、最良の医療の提供につながるのだと私は思う。